症例7:下顎臼歯部にインプラントを埋入して咬合を回復した1例
症例投稿となります
今回はインプラントを用いて咬合を回復した例をご紹介します
57歳男性、ブリッジが取れて噛めないという主訴で来院されました
ブリッジとは歯を失ってしまった場合に両隣の歯を削り全て繋がった被せ物を作成することで歯が無くなっている部分にもポンティック(ダミー)の噛むところが作られるといった治療法です
この患者さんの場合下顎右側の6番(第一大臼歯)が元々欠損しており、5番(第二小臼歯)7番(第二大臼歯)を削ったブリッジが入っていたものと予想されますが、今回被せ物の中でう蝕(むし歯)となってしまい3本まとめて繋がったブリッジが取れてきてしまいました
う蝕の状態は歯肉よりさらに深い部分まで進行しており、C4(残根状態とも言う)と診断し抜歯が適用となるものでした
ただ7番も抜歯となると今度はブリッジという選択肢が取れなくなってしまい、義歯(入れ歯)もしくはインプラント(人工の歯根を骨の中に埋めその上に歯冠(いわゆる歯の白い部分・噛む面)を結合させる治療法)のどちらかの選択になってしまいます
この患者さんは取り外しになる義歯には抵抗感があり拒否されましたのでインプラント治療を行うこととなりました
インプラントは人工の歯根を骨に埋めるために骨にドリリングを行う治療となりますので当院では血管や神経等の重要な器官を傷つけないように歯科用CTによる三次元診断・シミュレーションおよびサージカルガイド(ドリリング時に深くなりすぎたり大きく傾斜してしまわないようにする道具)を用いて安全に配慮したインプラント埋入を行っております
この患者さんの場合、最初の計画では5番と7番にインプラントを埋入し6番をポンティックにするインプラントブリッジとするデザインの予定でしたが、5番抜歯時に残根が骨に癒着しまっており完全に抜歯しきる際に骨を削らざるを得なく骨欠損ができてしまいました
こういった場合、骨を補填する材料を使い歯を抜いた穴に骨ができやすいようにするという方法も取れるのですが骨ができるまでの期間を待たなければいけないので治療期間が延びてしまいます
CT診断により6番相当部位に豊富に骨があることは分かっておりましたので治療期間短縮を図るため6番7番にインプラントを埋入し、5番を延長ポンティックとするデザインに了承を得て変更いたしました
最終的な上部構造(元来の歯でいうところの白い部分)を装着したのが以下の写真になります
5番ポンティックはオベイトポンティックという技術を使い、なるべく歯肉から自然に歯が生えているように見えるように配慮いたしました
インプラントは保険外診療となりますが、歯を失ってしまった場合に両隣の歯を削ることなくまた入れ歯にせず噛めるようになる治療ですので同様のお悩みをもつ方は一度ご相談に来ていただければと思います
ただしインプラントは骨の状態によって難易度が変わり、また骨の状態を改善するための処置が必要になると治療期間が延びてしまいます
そして必要なメインテナンスを受けていただかないと歯周炎と同じようにインプラント周囲炎という病気になり抜けてきてしまうなどの可能性が高くなってしまいます
また上述のように当院ではCTやサージカルガイドを使用し安全には十分な配慮を行っておりますが、それでも体質・全身疾患等の問題でインプラントが骨にくっつかないという事象が少ない確率ではありますが起こってしまうことがあります
詳しくは診査診断の上、ご説明いたしますのでお問合せ、ご予約いただきますようお願いいたします
治療期間 抜歯より上部構造セットまで8カ月
治療費(現在) インプラント埋入時 250000円×2
上部構造 110000円×3