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症例9:中切歯1本に対してインプラント埋入を行った1例

症例投稿となります

今回は中切歯(一番真ん中にある前歯)にインプラントを行った例をご紹介します

60代男性、前歯がぐらついて抜けそうという主訴で来院されました

拝見したところ、視診だけでも既に中切歯が歯槽骨(歯の周りを取り囲み支えている骨)からほぼ逸脱してしまっているのが分かり、動揺も重度でした
レントゲン診査でも同様の所見が認められ重度歯周病による抜歯が適当と診断いたしました

歯を抜かざるを得なくなった場合、その後の処置としてはブリッジ、義歯、インプラントを選択していただくことになりますが、今回は両隣の歯を保存するかつ取り外しの必要が無いインプラントを患者さんは選択されました

しかし今回の場合、歯周病が重度で歯槽骨が吸収されてしまっておりインプラントを埋入するだけの十分な骨がありませんでした

こういった場合は、骨補填材料を使って骨のボリュームを増やすGBR法を行うことでインプラントが入るだけの骨量を確保する必要があります
以下が抜歯を行うと同時に骨補填を行った写真となります
歯の欠損部に関しては仮歯を隣の歯に接着剤で固定することで一応の見た目の回復を行います

一週間後、抜糸を行った写真とCT画像が以下になります

骨補填材により一定の骨量が回復され歯肉もある程度の位置まで戻ってきましたが、右側中切歯との歯肉の位置にはまだまだ差がありこのままだと最終的な補綴物(かぶせもの)も長くなってしまい見た目が悪くなってしまいます

そこでインプラント埋入手術を行う際、再度骨補填材を追加することで歯肉のボリュームを作ります

インプラントが骨に癒着するのを待ち、最終補綴物を入れた状態が以下になります

中切歯の歯肉の高さがほぼ一致し、補綴物も色を合わせることで違和感の少ない正面観を獲得することができたと思っております

インプラントは保険外診療となりますが、歯を失ってしまった場合に両隣の歯を削ることなくまた入れ歯にせず噛めるようになる治療ですので同様のお悩みをもつ方は一度ご相談に来ていただければと思います
ただし病態により必ずしも同様の結果が出るとは限らないことをご了承ください

インプラントは骨の状態によって難易度が変わり、また骨の状態を改善するための処置が必要になると治療期間が延びてしまいます
そして必要なメインテナンスを受けていただかないと歯周炎と同じようにインプラント周囲炎という病気になり抜けてきてしまうなどの可能性が高くなってしまいます
また当院ではCTやサージカルガイドを使用し安全には十分な配慮を行っておりますが、それでも体質・全身疾患等の問題でインプラントが骨にくっつかないという事象が少ない確率ではありますが起こってしまうことがあります
詳しくは診査診断の上、ご説明いたしますのでお問合せ、ご予約いただきますようお願いいたします

治療期間 8カ月

治療費(現在) GBR 60000円
インプラント埋入手術 250000円
上部構造(補綴物) 110000円

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